他者の選択と視点

試用期間中にクビにならないか不安なあなたへ|本採用を断られたときの考え方と相談先

hatarakikata

「試用期間でクビになったらどうしよう」と不安なあなたへ

まず安心してください。試用期間中だからといって、会社が好きなように、簡単にあなたを辞めさせられるわけではありません。「お試しだから何をされても仕方ない」と思い込んでいる人は多いのですが、それは正しくありません。試用期間中の解雇や本採用の拒否にも、法律のルールがちゃんとあって、あなたは守られています。新しい仕事が決まったばかりで「うまくやれているかな」と毎日ドキドキしている人、あるいは本採用を断られて「もうどうしたらいいの」と困っている人もいるかもしれません。この記事では、試用期間とはそもそも何か、どんなときに解雇や本採用拒否が認められて、どんなときは認められないのか、そして困ったときにどこへ相談すればいいのかを、むずかしい言葉を避けてやさしく整理します。読み終えるころには、「思っていたより、守られているんだ」と少し肩の力が抜けているはずです。

【この記事のポイント】

  • 試用期間中でも、会社はあなたを自由にクビにできるわけではなく、解雇には正当な理由が必要
  • 「能力不足」「勤務態度」などでも、すぐ解雇は認められにくく、会社には指導や説明の責任がある
  • 本採用を断られて困ったときは、一人で抱え込まず公的な相談窓口に話してよい

今日のおさらい:要点3つ

  • 試用期間は「お試し」でも無法地帯ではなく、解雇には客観的で合理的な理由が必要
  • 遅刻や能力の問題でも、いきなりの解雇は認められにくく、会社の指導や改善の機会が前提になる
  • 納得できない解雇・本採用拒否は、理由を確かめ、記録を残し、公的な窓口に相談すれば道がひらける

この記事の結論

一言で言うと、試用期間中でも「正当な理由がなければクビにはできない」のが原則です。まず大切なのは、「お試し中だから何も言えない」とあきらめないこと。会社には解雇の理由をきちんと説明する責任があり、あなたにはその理由を確かめる権利があります。もし納得できないことが起きても、一人で悩まず、記録を残して公的な相談窓口に話してみてください。あなたを守るための仕組みは、ちゃんと用意されています。

試用期間って、そもそも何?「お試し=自由にクビ」ではありません

試用期間は「会社とあなたが確かめ合う期間」

試用期間とは、入社してから数か月のあいだ、会社とあなたがお互いに「この職場で続けていけそうか」を確かめ合うための期間のことです。多くの会社で1か月から6か月くらいに設定されています。会社側は「この人にうちの仕事を任せられるか」を見ますし、あなたの側も「この職場は自分に合うか」を見る、お互いのための期間です。

ここで大事なのは、試用期間中でも、あなたはもう「正式に雇われている社員」だということです。「まだ仮採用だから、いつでも切られて当然」というのは、よくある誤解です。法律のうえでは、試用期間中の人も一人の労働者としてきちんと守られています。給料も支払われますし、働くうえでの権利も基本的に正社員と変わりません。

「お試しだから何をされても仕方ない」は誤解です

「試用期間中なんだから、会社の判断ひとつで簡単に辞めさせられても文句は言えない」——そう思って、不安なまま我慢している人がいます。でも、それは正しくありません。試用期間中の解雇にも、法律上のルールがあります。

確かに、本採用の後にくらべると、会社の判断の幅はやや広いとされています。けれど「広い」というだけで、「自由」ではありません。あとで詳しく見ますが、解雇するには客観的で合理的な理由が必要で、それがなければ、たとえ試用期間中でも解雇は認められないことが多いのです。「お試し中だから」という言葉に、必要以上におびえなくて大丈夫です。

不安を感じるのは、まじめに向き合っている証拠

新しい職場で「ちゃんとできているかな」「クビになったらどうしよう」と不安になるのは、あなたが仕事に真剣に向き合っているからです。けっして気が弱いからではありません。むしろ、ルールを知っておけば、その不安はぐっと小さくなります。まずは「自分は思っていたより守られている」と知るところから始めましょう。

どんなときに解雇・本採用拒否が認められて、どんなときは認められないの?

解雇が認められるのは「客観的で合理的な理由」があるとき

試用期間中であっても、会社があなたを解雇したり本採用を断ったりするには、誰が見ても「それは仕方ないね」と思えるような、客観的で合理的な理由が必要です。そして、その理由は「採用のときには分からなかった事情」が前提になります。

たとえば、次のようなケースは、解雇や本採用拒否が認められやすい例として挙げられます。

  • 経歴やスキルについて、面接で重大なうそをついていたことが分かった
  • 正当な理由のない欠勤や遅刻を、注意されても何度もくり返した
  • 改善のための指導を受けても、勤務態度がまったく直らなかった

ポイントは、どれも「一度きり」ではなく、「注意や指導をしても変わらなかった」という積み重ねが前提になっていることです。

「能力不足」「合わない」だけでは、すぐの解雇は認められにくい

逆に、次のような理由だけで、いきなり解雇や本採用拒否をするのは、認められにくいとされています。

  • 「思っていたより仕事ができない」と会社が感じた(でも具体的な指導はしていない)
  • 「なんとなく社風に合わない」という、あいまいな理由
  • ミスはあったが、新人なら誰でもありそうな範囲のもの

なぜなら、入ったばかりの人ができないのは当たり前で、会社にはまず「教える・指導する」責任があるからです。きちんと指導もせずに「できないから」と切るのは、会社の都合の押しつけになってしまいます。「自分は能力が足りないからクビになっても仕方ない」と思い込んでいる人がいたら、いったん立ち止まってください。会社があなたに改善の機会を与えたかどうかが、とても大事なのです。

採用14日を過ぎたら「予告」も必要になります

もうひとつ知っておくと安心なのが、解雇の「予告」のルールです。会社が労働者を解雇するときは、原則として30日前に予告するか、予告しない場合は30日分以上の手当(解雇予告手当)を支払う必要があります。

試用期間中でも、働き始めて14日を超えて雇われている人には、このルールが当てはまります。つまり「明日から来なくていい」と急に言われ、何の手当もない、というのは、原則としておかしいのです。もしそうしたことが起きたら、それ自体が「相談していいサイン」だと考えてください。

困ったとき・納得できないときの動き方と相談先

まずは「理由」を確かめ、記録を残す

本採用を断られたり、解雇を告げられたりしたとき、ショックで頭が真っ白になるのは当然です。でも、できる範囲でかまわないので、まずは「なぜなのか」という理由を確かめてみてください。あなたには、解雇の理由を書面で出してもらうよう会社に求める権利があります(解雇理由証明書といいます)。

そして、次のようなことを、メモでいいので残しておきましょう。

  • いつ、誰から、どんな言葉で告げられたか
  • 解雇や本採用拒否の理由として説明された内容
  • これまでに受けた注意や指導の有無、その内容

記録は、あとで相談するときに「何が起きたか」を正確に伝えるための、あなたの味方になります。

一人で抱え込まず、公的な相談窓口へ

「こんなこと、相談していいのかな」とためらう必要はまったくありません。働く人のための公的な相談窓口がいくつもあります。労働基準監督署や、各都道府県の労働局には、解雇や働き方のトラブルについて無料で相談できる窓口があります。法律のことを相談できる公的なサービスもあります。

これらの窓口は、あなたを責めるためではなく、あなたを助けるためにあります。「自分の状況だと、どう考えればいいのか」を整理してもらうだけでも、気持ちはずいぶん軽くなります。電話で話を聞いてもらうところから始めても大丈夫です。

次の一歩を、自分を責めずに考える

本採用を断られると、「自分はダメな人間なんだ」と落ち込んでしまいがちです。けれど、その会社と合わなかったことは、あなたの価値が低いということとは違います。相性が合わなかっただけ、ということも本当に多いのです。試用期間で別れることになったとしても、それは次の職場で生かせる経験になります。

もし解雇や本採用拒否に納得がいかないなら、相談したうえで会社に説明を求めることもできますし、相性の問題だと整理がついたなら、気持ちを切りかえて次へ進むこともできます。どちらを選んでも、まちがいではありません。大切なのは、一人で抱え込まず、正しい情報を持ったうえで、あなたが落ち着いて決められることです。

よくある質問

Q1. 試用期間中なら、会社はいつでも自由にクビにできるのですか?

A1. いいえ、できません。試用期間中でも、解雇には客観的で合理的な理由が必要です。本採用後より会社の判断の幅はやや広いとされますが、「自由」ではなく、理由のない解雇は認められにくいです。

Q2. 「能力が足りない」と言われて本採用を断られました。仕方ないのでしょうか?

A2. 必ずしも仕方ないとは限りません。入ったばかりの人ができないのは当たり前で、会社にはまず指導する責任があります。きちんと指導や改善の機会がないままの本採用拒否は、認められにくいことがあります。

Q3. 試用期間中に「明日から来なくていい」と急に言われました。これは普通ですか?

A3. 普通ではありません。働き始めて14日を超えていれば、原則として30日前の予告か、解雇予告手当の支払いが必要です。急に何の手当もなく告げられたら、相談すべきサインだと考えてください。

Q4. 解雇の理由を、会社に教えてもらうことはできますか?

A4. できます。あなたには解雇の理由を書面(解雇理由証明書)で出してもらうよう求める権利があります。理由をはっきりさせることは、納得して次へ進むためにも、相談するためにも役立ちます。

Q5. 試用期間中でも、給料やほかの権利は正社員と同じですか?

A5. 基本的に同じです。試用期間中の人も一人の労働者として守られており、給料はもちろん支払われ、働くうえでの権利も基本的に変わりません。「仮採用だから権利がない」というのは誤解です。

Q6. 納得できない解雇をされたら、どこに相談すればいいですか?

A6. 労働基準監督署や各都道府県の労働局の相談窓口で、無料で相談できます。法律のことを相談できる公的なサービスもあります。記録やメモを持っていくと、状況を正確に伝えやすくなります。

Q7. 本採用を断られて落ち込んでいます。自分に問題があったのでしょうか?

A7. 自分を責めすぎないでください。会社と合わなかったことは、あなたの価値が低いこととは違い、相性の問題であることも多いです。その経験は次の職場で必ず生かせます。納得できないときは相談しても大丈夫です。

まとめ

  • 試用期間は「お試し」でも無法地帯ではなく、解雇には客観的で合理的な理由が必要です
  • 「能力不足」「合わない」だけのいきなりの解雇は認められにくく、会社にはまず指導する責任があります
  • 採用14日を超えていれば、解雇には予告か解雇予告手当が原則必要です
  • 納得できないときは、解雇の理由を確かめ、記録を残し、公的な相談窓口に話してよいのです
  • 本採用を断られても、それは相性の問題であることが多く、あなたの価値とは別の話です

「試用期間でクビになったらどうしよう」と毎日不安なあなたへ。今日できる一歩は、とても小さくて大丈夫です。まずは「試用期間中でも自分は守られている」と知っておくこと、それだけで気持ちはずいぶん軽くなります。もし困ったことが起きても、一人で抱え込まないでください。理由を確かめ、メモを残し、相談できる窓口があることを思い出してください。正しく知っておけば、もう必要以上に怖がらなくて大丈夫です。あなたの働く毎日が、少しでも安心できるものになりますように。

ABOUT ME
ユウ・ミナト
ユウ・ミナト
「納得できる働き方」研究者
「なんとなく違う気がする」を抱えたまま、働き続けてきました。 選び直すのは怖かったけど、自分の“納得”を探す旅を始めたら、仕事も人生も少しずつ変わってきました。 ここではそのヒントを、少しだけ先に知った立場からお届けします。
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